慢性腎臓病

監修:大阪大学大学院 医学系研究科 腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生

慢性腎臓病の病態

腎臓の働き

腎臓は血液中の老廃物を取り出して尿をつくる、身体の「ろ過装置」です。
一つの腎臓に100万個ある糸球体で、血液をろ過して、尿の元(原尿)をつくり水や電解質など必要なものを再吸収して不必要なものは尿として排泄されます。
この腎臓がつくる原尿の量を糸球体ろ過量(glomerular filtration rate:GFR)と呼び、腎臓の機能を測る指標として用いられています。また腎臓はその他にも様々な働きをする頑張り屋な臓器です。

腎臓の働き

腎臓のしごと

●余分なものを排泄

余分なものを排泄

●血圧をコントロールするホルモンをつくる

血圧をコントロールするホルモンをつくる

●酸素濃度を感知して赤血球をつくる
ホルモンをつくる

酸素濃度を感知して赤血球をつくる<br>ホルモンをつくる

●ビタミンDを活性化して骨を健康に

ビタミンDを活性化して骨を健康に

慢性腎臓病(CKD)とは

どんな病気?

  • 慢性腎臓病(CKD)とは慢性に経過するすべての腎臓病を指します。
  • 患者さんは1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられています。
  • 慢性腎臓病(CKD)は、初期には自覚症状がほとんどありません。このことが患者さんを増加させている原因でもあります。
  • 慢性腎臓病(CKD)は一度あるレベルまで悪くなってしまうと自然に治ることは困難になるため、早期からの治療が重要です。
  • 放っておくと、進行して、透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性があります。

実は8人に1人が罹患している新たな国民病です。

8人に1人が罹患

日本腎臓学会編:CKD 診療ガイド2012.P.26,東京医学社,2012

慢性腎臓病(CKD)は一度あるレベルまで悪くなってしまうと自然に治ることが困難です。

慢性腎臓病(CKD)レベル

日本腎臓学会編:CKD 診療ガイド2012.P.26,東京医学社,2012

eGFRとは?
腎臓病(CKD)は、その重症度に応じて、ステージ1 からステージ5 の5 段階に分けられています。
その指標となるのが推算糸球体ろ過量(eGFR)です。