二次性副甲状腺機能亢進症

監修:兵庫医科大学 循環器・腎透析内科学講座 教授 倉賀野 隆裕 先生

症状は?

①骨がもろくなることで起こる症状1),2)

ビタミンDには、腸でのカルシウム吸収を助ける働きがあります。しかし腎機能の低下によってビタミンDを活性型ビタミンDに変換できなくなると、腸からカルシウムを吸収する機能が低下します。さらに高リン血症による影響を受けて副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されると、カルシウムを骨から摂取して血中に補おうとするため、骨中のカルシウムが不足します。そのため骨代謝が低下してもろくなり、骨折しやすくなります。特に高齢者は、骨粗しょう症の症状が多くみられるため注意が必要です。

  • 骨折
  • 骨が痛む
骨がもろくなることで起こる症状

②カルシウム沈着による症状1),2)

カルシウムが骨以外の組織や臓器に沈着すると、「異所性石灰化」を起こします。例えば血管に沈着すると、血管壁が硬くなって動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞などを発症しやすくなります。

  • 動脈硬化(血管への沈着)
  • かゆみ(皮膚への沈着)
  • 関節症(関節への沈着)
  • 目の充血(目の粘膜への沈着)
カルシウム沈着による症状

③高リン血症による血管の石灰化1),2)

リンが正常に尿へ排出されないと、血中のリン値が高くなります。
さらにカルシウムと結び付き、「異所性石灰化」を起こします。

  • 心筋梗塞
  • 大動脈弁狭窄症
  • 閉塞性動脈硬化症
高リン血症による血管の石灰化

参考文献
1)小川洋史 岡山ミサ子 宮下美子 監修:透析ハンドブック, 第5版, 医学書院, 2018
2)深川雅史 監修:こんな時どうすれば!? 透析患者の内科管理コンサルタント, 金芳堂, 2017