①骨がもろくなることで起こる症状1),2)
ビタミンDには、腸でのカルシウム吸収を助ける働きがあります。しかし腎機能の低下によってビタミンDを活性型ビタミンDに変換できなくなると、腸からカルシウムを吸収する機能が低下します。さらに高リン血症による影響を受けて副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されると、カルシウムを骨から摂取して血中に補おうとするため、骨中のカルシウムが不足します。そのため骨代謝が低下してもろくなり、骨折しやすくなります。特に高齢者は、骨粗しょう症の症状が多くみられるため注意が必要です。
②カルシウム沈着による症状1),2)
カルシウムが骨以外の組織や臓器に沈着すると、「異所性石灰化」を起こします。例えば血管に沈着すると、血管壁が硬くなって動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞などを発症しやすくなります。
- 動脈硬化(血管への沈着)
- かゆみ(皮膚への沈着)
- 関節症(関節への沈着)
- 目の充血(目の粘膜への沈着)
③高リン血症による血管の石灰化1),2)
リンが正常に尿へ排出されないと、血中のリン値が高くなります。
さらにカルシウムと結び付き、「異所性石灰化」を起こします。
参考文献
1)小川洋史 岡山ミサ子 宮下美子 監修:透析ハンドブック, 第5版, 医学書院, 2018
2)深川雅史 監修:こんな時どうすれば!? 透析患者の内科管理コンサルタント, 金芳堂, 2017