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1型糖尿病の運動療法

運動療法

運動療法の効果

運動によりブドウ糖の利用が促進され血糖値が低下します。また、運動の継続によりインスリン抵抗性が改善されると、注射するインスリンの量が増えず、肥満の予防にも役立ちます。適度の運動は血液中の中性脂肪を低下させたり、HDL(善玉)コレステロールを増加させたりします。さらに血圧を安定させる効果があり、動脈硬化の予防に役立ちます。
また、運動することでストレスを解消し、安眠も得られます。

運動療法の注意点

空腹時血糖値が250mg/dL以上あったり、尿のケトン体が陽性である場合は、強い運動を行うと、血糖値がより高くなる危険があります。このような場合は運動療法は行いません。30分以上のウォーキングやジョギングなどの運動を行う前には、血糖測定と、できれば尿ケトン体のチェックもあわせて行いましょう。
運動に際しては低血糖に注意する必要があります。上腕部や大腿部にインスリン注射をすると、運動によりインスリンの吸収がよくなり、低血糖になる危険があるので、原則として、四肢は避けて腹壁に投与します。運動時の低血糖を避けるためには、次のことに注意しましょう。

インスリン量 通常の1/2~3/4などに減量
補食 運動量が多いときや運動時間が長い場合には適宜補食を摂取
運動のタイミング 食後1~3時間の間を推奨(空腹時を避ける)
運動中の低血糖 すぐにブドウ糖や砂糖水や糖分を含む清涼飲料水を摂取

インスリン量や補食の内容・タイミング等、注意点に関して不明な点がある場合は医師に相談してください。

日本糖尿病学会ホームページhttp://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=9(2023年12月5日現在)より作成.

監修:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科

教授 山内 敏正 先生

(2024年3月作成)