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小児・思春期における1型糖尿病

治療における注意点

小児糖尿病の治療目標は、糖尿病のない小児と同等の発育とQOLの確保です。

緩徐進行1型糖尿病が多く、鑑別にはGAD抗体などの自己抗体の測定やCペプチド※1の経過観察などが役立ちます。

中学生以下で糖尿病と診断された場合は、小児内分泌および糖尿病を専門とする小児科医、もしくは小児・思春期の方の治療経験のある糖尿病専門の内科医に相談することが望ましいとされています。

思春期では、成長ホルモンや性ホルモンの影響などにより「生理的インスリン抵抗性」が増大するほか、思春期特有の精神的葛藤も血糖管理に強く影響し、女子では月経周期の影響も加わります。

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小児
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思春期の男女

治療は強化インスリン療法※2が基本です。持続皮下インスリン注入療法(CSII)は、小児のすべての年齢で適応となります。

低血糖が起きたり、高血糖が続くなど、血糖マネジメントが目標未達成の場合、認知機能に悪影響がでるという報告があります。

目標HbA1cは7.5%未満ですが、目標HbA1c値は個人によって異なり、重症低血糖の発生を最小限にするように設定すべきとされています。

正常な発育を遂げるために年齢と性に合致した必要エネルギー量を摂取する必要があり、食品構成を適正にします。小児は低血糖時の対応が難しいので、安定した血糖マネジメントを維持するため、規則正しい食事の摂取を心がけることが大切です。また、血糖値が低下しやすい時間帯や、学校の体育の授業や運動部の部活動などに際しては、補食※3により低血糖を回避することが必要な場合があります。

  • ※1 Cペプチドとは
    Cペプチドはインスリンの前駆物質であるプロインスリンの構成成分です。
  • ※2 強化インスリン療法とは
    インスリンの頻回注射、またはインスリンを持続的に皮膚の下から注入する方法で(持続皮下インスリン注入療法)、足りないインスリンを補充します。血糖値を適正に維持する(高血糖になったり、インスリンが効きすぎて低血糖にならないようするため)、ご自身で1日に数回、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を測定することが必要になります(血糖自己測定:SMBG)。医師のアドバイスに従い、患者さん自身がインスリン注射量を決められた範囲内で調節しながら、良好な血糖マネジメントをめざします。
  • ※2 補食とは
    必要な栄養やエネルギーを満たすために、通常の食事(朝・昼・夕)に加えて物を食べること。

日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病治療ガイド 2022-2023. 文光堂. P102.2022.より作成.

日本糖尿病学会ホームページhttp://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=9(2023年12月5日現在)より作成.

監修:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科

教授 山内 敏正 先生

(2024年3月作成)