変形性股関節症の治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。
多くの場合、保存療法(薬物療法、運動療法、装具療法、物理療法)から始めます。
①薬物療法
痛みをやわらげたり、炎症を抑えたりするために薬物療法を行います。
●外用薬
炎症を抑える塗り薬や貼り薬を使用します。痛みが強いときには坐薬を用いることもあります。
●内服薬
炎症を抑える作用のある非ステロイド性消炎鎮痛薬が最もよく使われます。ただし根本治療ではなく、副作用の懸念もありますので、痛みが軽くなったら使用を中止します。
●関節内注射
関節機能改善剤注射とステロイド注射の2種類があります。前者は関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸と消炎鎮痛薬が結合した注射剤です。後者は炎症や痛みが激しい場合に用いられることがあります。
②運動療法
股関節周りの筋肉をゆるめるストレッチや、股関節を支える筋肉を鍛える筋力トレーニングを行います。
毎日コツコツ続けることで、筋力は着実に回復し、股関節への負担も軽減できます。
※痛みを感じたら運動を止め、医師に相談しましょう。
③装具療法
装具や杖、足底板などを使って股関節を保護する療法です。
●装具
股関節を保護し、負担を軽減してくれます。
股関節の曲げ伸ばしや、
内転、外転のコントロールが可能になります。
④物理療法
電気や赤外線などを利用して血流をよくする療法です。
●温熱療法
患部を温めて血流をよくすることで、痛みを軽減します。
また、筋肉の緊張をほぐして、
股関節を動きやすくしてくれます。
(患部に腫れがあり、炎症で熱を持っているときは、 冷湿布などの寒冷療法を行います)
⑤手術療法
保存療法では症状が改善されず、日常生活に支障をきたす場合には、手術を検討します。
人工股関節置換術、骨切り術、関節鏡視下手術があります。
●人工股関節置換術
股関節の変形が大きくなった場合に、人工股関節に置き換える手術です。術後は可動域が広がり、痛みもほぼなくなることが特徴です。