慢性合併症
糖尿病は自覚症状が少ない病気です。しかし、高血糖状態が続いてしまうと合併症を発症します。
合併症には大きく、細い血管が障害される細小血管症と太い血管が障害される大血管症の2つがあります。
細小血管症1)
細小血管症として、3大合併症(神経の障害、眼の障害、腎臓の障害)があります。それぞれの最初の文字をとって、「しめじ」と覚えましょう。「しめじ」は、合併症が起こりやすい順番に並んでおり、神経障害が早く起こることが多いといわれています(図1,2)。
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神経障害
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網膜症
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腎症
大血管症2)
大血管症はいわゆる動脈硬化性疾患のことで、冠動脈疾患(心筋梗塞)、脳梗塞、末梢動脈疾患が比較的多く現れます(図3) 。 症状のない脳梗塞や冠動脈疾患(心筋虚血)も糖尿病でない方より多いことが知られています3)。糖尿病性足病変もこの分類に含まれることがあります。
高齢者に多い併存症
高齢の糖尿病のある方の場合、認知症、サルコペニア・フレイル、心不全、悪性腫瘍などの併存症になりやすいといわれています(図4)4)。
- *サルコぺニア:筋量、筋力、身体機能の3つが低下した状態
- **フレイル:加齢に伴い筋力や心身の活力が低下した状態
- 吉田久美:糖尿病ケア. 17(4):27-28, 2020
- 日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, p14,82, 2022
- 門脇孝ほか 編:糖尿病学. 西村書店, p437, 500, 2015
- 日本糖尿病学会・日本老年医学会 編・著:高齢者糖尿病治療ガイド2021. 文光堂, p91-95, 2021
監修:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科
教授 山内 敏正 先生