血糖マネジメントの目標
血糖マネジメント指標には、HbA1c値を用います。 HbA1cは赤血球のヘモグロビンという色素がどれくらいの割合で糖と結合しているかを示す検査値です。普段、血糖値が高い人はHbA1c値も高くなります。 HbA1cは、過去1-2ヵ月の平均血糖値を反映して変動するため、血糖マネジメントの目安となります。目標値は図1のように3段階あります1)。個々の方の状況に合わせて設定します。
コントロール目標値注4) | |||
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目標 | 血糖正常化を目指す際の目標注1) | 合併症予防のための目標注2) | 治療強化が困難な際の目標注3) |
HbA1c(%) | 6.0未満 | 7.0未満 | 8.0未満 |
治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定します。自分で、着衣・移動・入浴・トイレの使用等が、問題なくできるかどうか、手段的ADL (自分で買物・食事の準備・服薬管理・金銭管理などが問題なくできるかどうか) 、併存疾患等も考慮して個別に設定します。ただし、高齢になると重症低血糖の危険性が高くなることに十分注意する必要があります。
- 注1)適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標とする。
- 注2)合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする。
- 注3)低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする。
- 注4)いずれも成人に対しての目標値であり、また妊娠例は除くものとする。
- 日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, p15, 33-34, 2022より一部改変
監修:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科
教授 山内 敏正 先生