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2型糖尿病の運動療法

効率的な運動療法について

運動により、体を動かすことで食事などで摂取されたエネルギーを筋肉で消費します。特に食後に行う運動は、食後血糖が上がり過ぎることを抑えるように働き、血糖マネジメントの改善が期待できるほか、糖尿病の原因ともなる肥満の防止とその改善にも効果があることが広く知られています1)
有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)を組み合わせるのがよいといわれています2)

有酸素運動2)

有酸素運動は、体力・持久力を増加させる運動です(にこにこペースで)(図1)。

にこにこペース:「やや楽である~ややきつい」「話しながら続けられる~話し続けにくくなる程度」が目安となります。

図1:有酸素運動の実例

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ウォーキングやゆっくりのジョギング

ウォーキングやゆっくりのジョギング

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ラジオ体操

ラジオ体操

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水中ウォーク

水泳、水中ウォーク

レジスタンス運動(筋力トレーニング)2,3)

レジスタンス運動は、筋力・筋肉量を増加させる運動です(ややきついペースで)(図2)。

ややきついペース:5~6回で1セット、1日3セットが目安です。無理のない運動からはじめましょう!
図2:レジスタンス運動の実例3)
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椅子につかまってスクワット

椅子につかまってスクワット

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ふくらはぎの筋肉トレーニング

ふくらはぎの筋肉トレーニング

運動する時に気を付けること1)

  • 準備体操・ストレッチを忘れずに!
  • 事前に検査を受けましょう
    合併症をお持ちの方や血糖マネジメントが不十分な方は、運動を控えた方がよい場合があります。
  • 無理をしない
    体調がよくないときは、休みましょう。
  • 水分補給、日差し対策も忘れずに4)
    夏場は特に気を付けましょう。
  • 薬物療法をしている人は低血糖に注意
    血糖自己測定や補食など、低血糖対策を行いましょう。
  • 関節痛など、運動に不安のある方は主治医にご相談ください。

高齢者の運動療法の考え方

糖尿病のある高齢の方にとっても、定期的な身体活動、歩行などの運動療法は内臓に脂肪がたまりにくくさせるだけでなく、日常生活での活動、フレイル、認知症の予防にも良い面があると考えられます5)
身体機能が低下して、有酸素運動などの継続が難しい場合でも、レジスタンス運動により筋力は増加します。比較的負荷が軽い運動でも効果はありますので、主治医とご相談ください5)

有酸素運動・レジスタンス運動・バランス運動・ストレッチング5)

有酸素運動は、呼吸をしながら酸素を使って脂肪や糖質をエネルギーに変えて、筋肉を規則的で繰り返して動かす運動のことです。
レジスタンス運動は、筋肉におもりなどの負荷をかけて動きを繰り返す運動のことです(筋力トレーニングともいいます)。
バランス運動は、ピンとまっすぐ立ったり、からだを元の位置に戻したり、転ばないようにする能力を向上させる運動のことです。
ストレッチングは、一定時間筋・腱及び関節を伸ばすことで、ケガを予防したり、疲れを取ったり、体調を整えるための運動のことです。 これら4つの運動を図3にまとめました。

図3:有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動、ストレッチング
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有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動、ストレッチング
この運動強度はあくまでも目安です
  • 日本糖尿病学会・日本老年医学会 編・著: 高齢者糖尿病治療ガイド2021. 文光堂, p49-52, 2021
  • 田村好史ほか: Medical Practice. 34(9): 1507-1510, 2017
  • 日本整形外科学会. ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン(https://locomo-joa.jp/check/locotre/)(閲覧日2023年:12月19日)
  • 佐藤祐造 編: 糖尿病運動療法指導マニュアル. 南江堂, p52, 2014
  • 日本糖尿病学会・日本老年医学会 編・著: 高齢者糖尿病治療ガイド2021. 文光堂, p49-50, 2021

監修:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科

教授 山内 敏正 先生

(2024年3月作成)