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2型糖尿病診断のための検査

糖尿病の判定の際に用いる血糖の指標1,2,3)

2型糖尿病が疑われる場合には、以下の1~3の検査を行います。それらの検査の結果から、異常が認められない「正常型」、将来糖尿病に進行する可能性の高い「境界型」、いずれかの検査で異常値が認められた「糖尿病型」のいずれかに判定されます。
血糖とHbA1cのどちらか一方だけが「糖尿病型」だった場合は再検査を行い、再検査でも「糖尿病型」だった場合は、糖尿病と診断されます。

1.血糖:けっとう、グルコース、Glu

基準値  空腹時血糖値:70mg/dL以上109mg/dL以下、随時血糖値:140mg/dL以下
糖尿病型 空腹時血糖値:126mg/dL以上、随時血糖値:200mg/dL以上

血液中のブドウ糖濃度を表しています。
空腹時血糖値が100~109mg/dLは正常高値といい、将来糖尿病を発症するリスクが高いなど、注意が必要です。
空腹時血糖値とは前の食事から約10時間以上経過して測定した血糖値のことです。お腹が空いている時の値ではありません。
また、随時血糖値とは食事時間に関係なく測定した血糖値のことです。200mg/dL以上になると糖尿病型となります。

2.75g経口ブドウ糖負荷試験:75gOGTT(oral glucose tolerance test)

基準値  負荷後2時間値:140mg/dL未満
境界型  負荷後2時間値:140mg/dL以上199mg/dL以下
糖尿病型 負荷後2時間値:200mg/dL以上

10時間以上の絶食の後に専用のブドウ糖液を飲んで、その後30分、60分、120分と採血し、血糖値を測定します。飲んだ前後での血糖値の変動を確認します。空腹時の血糖値が基準値範囲内でも、食後の血糖値が高い場合は、特に注意が必要です。

3.HbA1c:ヘモグロビンエーワンシー

基準値 4.6%以上6.2%以下(NGSP)
尿病型 6.5%以上(NGSP)

赤血球の赤い色素であるヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ働きをしています。
HbA1cはヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。HbA1cは過去1~2ヵ月の血糖状態を反映しています。

NGSP:National Glycohemoglobin Standardization Program; 国際グリコヘモグロビン標準化プログラム

持続血糖モニター:CGM(continuous glucose monitoring)3)

持続血糖モニター(CGM)は、連続して皮下の間質液のグルコース濃度を測定し、血糖値を推定することのできる装置です。
1型糖尿病のある方と血糖マネジメントが難しい2型糖尿病のある方に使用でき、SMBGでは発見しづらい夜間・早朝の低血糖や食事直後の高血糖、さらに血糖の上下動などを測定することができます(図1)。

細胞外に存在する水分(体液)のこと

SMBG(self-monitoring of blood glucose):
自己検査用グルコース測定器を用いて、糖尿病のある方が自己の血糖値を測定することです。

図1:持続血糖モニターによる日内変動パターン(イメージ図)
画像
持続血糖モニターによる日内変動パターン
  • 江口正信, 他 編・著: 検査値早わかりガイド第3版. サイオ出版, p177-179, 181, 2018
  • 川﨑英二 編: 基準値と異常値で病態を見きわめる検査値読み解き力UPブック. メディカ出版, p95-97, 100-101,187-188, 2014
  • 日本糖尿病学会 編・著: 糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, p15, 24-27, 74, 99,2022

監修:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科

教授 山内 敏正 先生

(2024年3月作成)