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慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD)は、慢性に経過する様々な腎臓病の総称です。日本では1330万人(20歳以上の成人の8人に1人)が罹患していると考えられている国民病です(図11)

図1:日本における慢性腎臓病(CKD)の推定罹患率
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日本における慢性腎臓病(CKD)の推定罹患率
  • 日本腎臓学会編:CKD診療ガイド2012.P.26,東京医学社,2012

慢性腎臓病(CKD)の診断基準

以下の①、②のいずれか、または両方が3ヵ月を超えて続いた場合、慢性腎臓病(CKD)と診断されます2)

  • 腎臓に障害がある(たんぱく尿など、検査で異常がみつかった

    たんぱく尿が陽性(+)になったからといって、必ずしも腎臓に障害があるとは限りません。長時間の起立や運動したあと、または熱が出たときだけにたんぱく尿が現れる場合は、腎臓の病気はあまり心配はいりません。

  • 腎臓の機能が低下している(GFRが60mL/分/1.73m2未満である)
腎機能の指標 GFR

腎臓の機能を測る指標として、糸球体ろ過量(glomerular filtration rate: GFR)が用いられます。糸球体が1分間にどのくらい血液をろ過できるかを示す値で、以下の計算式で求めることができます2)

男性:eGFR(mL/分/1.73m2)=194×血清クレアチニン値(mg/dL)-1.094 ×年齢(歳)-0.287
女性:eGFR(mL/分/1.73m2)=194×血清クレアチニン値(mg/dL)-1.094 ×年齢(歳)-0.287×0.739

これらの式で算出できる対象年齢は18歳以上です。

計算式にある「クレアチニン」とは血液中の老廃物の一つです。通常は腎臓でろ過され、ほとんど尿中に排出されますが、腎機能が低下すると尿中への排出が減り血液中の濃度が高くなります。

また、血液検査の結果ではGFRではなく、eGFRとして記載されることがあります。

慢性腎臓病(CKD)の重症度分類/ステージ

慢性腎臓病(CKD)の重症度は5段階あり、eGFR値に応じて、ステージ1からステージ5にわけられています2)。ステージ5の腎不全では、透析療法や腎臓移植による治療が必要になります(図22)

図2:慢性腎臓病(CKD)の重症度
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慢性腎臓病(CKD)の重症度
  • 日本腎臓病協会監修:腎臓病療養指導士のためのCKD指導ガイドブック.P141, 東京医学社, 2021を参考に作成

慢性腎臓病(CKD)が進行すると

残った糸球体に過剰な負荷

ろ過装置である糸球体の一部がダメージを受けて機能が停止すると、機能しなくなった糸球体に流入していた血液を残った糸球体で代償的にろ過しようとします。その結果、残った糸球体に過剰な負荷がかかり、負荷がかかった糸球体はさらにダメージを受けるので、腎機能の低下が早まります。

慢性腎臓病(CKD)の症状

腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、慢性腎臓病(CKD)の初期には自覚症状はほとんどありません。血液検査や尿検査で異常があったら、症状がなくても念のため早めに病院を受診するようにしてください。
慢性腎臓病(CKD)重症度ステージが進行すると、夜間尿、倦怠感、むくみ、息切れ、貧血などの症状が現れたり、骨がもろくなったりします。

慢性腎臓病(CKD)が進行すると現れやすい症状

  • 夜間尿夜間に何度もトイレに行くようになる

  • 倦怠感筋肉が落ち、疲れやすくなる

  • からだに水が溜まるむくみがちになる

  • 息切れ少し早歩きしただけで息が切れる

  • 貧血立ちくらみや、めまいなどがたびたび起こる

  • 骨がもろくなる

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夜間尿や貧血のイラスト

慢性腎臓病(CKD)を早い段階から治療すべき理由

慢性腎臓病(CKD)を放っておくと、腎機能が徐々に低下して腎不全に至る可能性があります。腎不全になると食事の内容や水分などを厳しく制限する必要があります。体液のバランスがとれなくなり、心不全や肺水腫を起こし、息切れや呼吸困難が現れやすくなります。この状態になると、透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性があります。

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入院

さらに慢性腎臓病(CKD)の人は、心不全や心筋梗塞、脳卒中などの心血管病を発症しやすいことが知られています(図33)
慢性腎臓病(CKD)は一度あるレベルまで悪くなってしまうと自然に治ることは困難になるため、早期からの治療が重要です。

図3:慢性腎臓病(CKD)の有無別にみた心血管病の累積発症率
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心血管病累積発症率の表

試験概要:脳卒中あるいは心筋梗塞の既往歴を有するものを除いた40歳以上2634名を12年間前向きに追跡した成績より、CKD有無別に心血管病累積発症率を求めた。

  • 二宮利治ほか:日本透析医学会雑誌. 2006;39(2):94-96. より改変
  • 日本腎臓学会編:CKD診療ガイド2012,東京医学社,2012
  • 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,東京医学社,2023
  • 二宮利治ほか:日本透析医学会雑誌. 2006;39(2):94-96.

(2023年11月作成)

(2024年7月更新)