治療を続ける理由
慢性腎臓病(CKD)では、腎機能をできるだけ維持して透析や移植が必要になる時期を遅らせることと、並行して心血管病などの合併症を防ぐことが重要になるため、長期にわたり治療を続ける必要があります。定期的な検査や受診も欠かせません。その間、患者さんご自身の腎臓の状態に応じて、食事療法や運動療法の内容、服用するお薬が変わることもあります。
医療スタッフに相談を
日常生活に制限がかかる治療を続けるなかで、病状が悪化すれば、誰でも不安な気持ちになり、混乱します。医療機関では医師以外にも、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師など多くの医療スタッフが、チームとして患者さんやそのご家族をサポートしています。日頃感じている不安や疑問、困っていることなどがあれば、医療スタッフに相談しましょう。
慢性腎臓病(CKD)に関するQ&A
1.Q:健康診断の結果、腎機能の欄が「要経過観察」となっていました。次の検査までは特に何もしなくてよい、ということでしょうか?
A:「要経過観察」とは、腎機能に関連する検査で、基準値から外れている項目がありましたが、現段階では精密検査が必要ではない程度、という意味になります。ただし、何もしなければ、悪化する可能性も否定できませんので、まず生活習慣を見直すようにしましょう。このページであれば、治療を始める方へが参考になると思います。心配なことがあれば、次の健康診断を待たずにかかりつけ医に相談してみてください。
2.Q:むくみやだるさがあるのですが、慢性腎臓病(CKD)の症状でしょうか?
A:慢性腎臓病(CKD)の初期は、一般的に自覚症状がありません。腎臓の病気によるむくみは、通常足首のくるぶしあたりから左右対称に現れますが、腎臓以外の原因も考えられます1)。だるさは腎機能が高度に低下した末期腎不全では、尿毒症の症状として出てくることがあります1)。
健康診断などで腎機能の再検査が必要な人や(詳細は「慢性腎臓病(CKD)の診断基準」を参照してください)、慢性腎臓病(CKD)と診断されている人は、早めに医療機関を受診するようにしてください。
3.Q:食生活を変えずにお薬だけで治療できませんか?
A:慢性腎臓病(CKD)の治療は、生活習慣、特に毎日の食事が重要なカギを握っています。例えば塩分の多い食事を続けていると、血圧のお薬の効きが悪くなる、ということがわかっています2)。長年の食生活を変えることは容易ではありませんが、できるところから改善していきましょう。
4.Q:腎代替療法(じんだいたいりょうほう)とは何ですか?
A:腎機能の低下が進行し、自分の腎臓で健康状態を維持できなくなった場合に選択できる治療方法を腎代替療法といいます。具体的には、透析療法(血液透析、腹膜透析)、腎臓移植のことを指します。詳細は外科治療のページを参照してください。
- 日本腎臓学会 3.腎臓がわるくなったときの症状https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms03.php(2023年9月参照)
- 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,東京医学社,2023
監修:兵庫医科大学 循環器・腎透析内科学
教授 倉賀野 隆裕 先生