ONOメディカルナビ 一般・患者さん向け情報サイト

慢性腎臓病(CKD)の原因と進行因子

慢性腎臓病(CKD)の原因

一般に、腎機能は加齢に伴い低下します。
また、慢性腎臓病(CKD)の原因には、腎炎など腎臓自体によるもの、糖尿病や高血圧といった生活習慣病に由来するものがあります。遺伝的・先天的な要因が関与していることもあります。
慢性腎臓病(CKD)は進行すると腎不全となり透析療法や腎臓移植が必要になります。2021年に透析療法を導入した患者さんの原因疾患でもっとも多かったのは糖尿病性腎症(39.6%)で、慢性糸球体腎炎(24.6%)、腎硬化症(12.8%)が続きました(図11)

図1:透析療法導入患者の原因疾患(2021年)
画像
透析療法導入患者の原因疾患(2021年)
  • 花房規男 ほか: 日本透析医学会雑誌.2022;55(12):665-723.より作成

慢性腎臓病(CKD)の代表的な原因疾患

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症は糖尿病の合併症の一つで、多くの場合、尿中に微量のアルブミンが認められると発症が疑われます。しかし、そういった徴候がみられないまま腎機能が低下するケースもあります。そのため、糖尿病によって引き起こされた腎障害を総括して「糖尿病性腎臓病」と呼ぶこともあります。

慢性糸球体腎炎(IgA腎症、膜性腎症など)

慢性糸球体腎炎とは、糸球体の炎症により、たんぱく尿や血尿が長期間持続する病気の総称です。
IgA腎症
IgA腎症は、慢性糸球体腎炎のなかではもっとも患者さんの数が多い病気です。抗体の一種であるIgA(免疫グロブリンA)が糸球体に沈着して炎症が起こると考えられていますが、原因は未だ不明で、わが国では「指定難病」の一つとなっています。尿検査でたんぱく尿や血尿が認められ、腎生検によって診断がつく病気です。
膜性腎症
腎臓のろ過装置である糸球体の成分に対して抗体ができてしまうため、糸球体が壊れてたんぱくが尿中に多く漏れ出ます。中高年以降に多い病気で、自己抗体が原因となるタイプのほか、悪性腫瘍や感染症、お薬によって発症するタイプがあります。診断には腎生検が必要です。

腎硬化症

腎臓には、血圧を正常範囲内に維持する調節機能があります。そのため、腎臓が悪くなると高血圧になりやすく、高血圧が続くとさらに腎臓が悪くなりやすくなります。腎硬化症は、高齢の高血圧患者さんに多く、腎臓の細い血管に動脈硬化が進み、糸球体の硬化や腎組織の線維化などがみられます。

慢性腎臓病(CKD)の進行因子

慢性腎臓病(CKD)の進行と関連する病気には高血圧、糖尿病、心筋梗塞などの心臓病があります。若くして発症した方や、ご高齢の方、男性は進行がはやいと考えられています2)
エネルギーの過剰摂取による肥満は、高血圧、糖尿病などに影響し、心筋梗塞や心不全だけでなく慢性腎臓病(CKD)を進める可能性のある因子です。喫煙は健康に悪影響を及ぼします。

図2:慢性腎臓病(CKD)・心血管病の発症を進める可能性のある因子3)
画像
慢性腎臓病(CKD)・心血管病の発症を進める可能性のある因子
  • 花房規男ほか:日本透析医学会雑誌.2022;55(12):665-723.
  • 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023.東京医学社,2023
  • 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html2023年9月参照

(2023年11月作成)