治療の目的1)
腎不全への進行を抑え、脳卒中や心臓病の発症を防ぐ
慢性腎臓病(CKD)は、放っておくと進行して腎不全に至り、透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性があります。また、脳卒中や心筋梗塞、心不全などの心血管病の発症率が高くなります。
そのため、慢性腎臓病(CKD)の治療は、腎不全への進行を遅らせ、心血管病の発症を防ぐことを目的としています。
治療開始はできるだけ早期に
慢性腎臓病(CKD)は一度あるレベルまで悪くなってしまうと自然に治ることは困難になるため、早期からの治療が重要です。
まず、リスクとなる生活習慣を見直して改善するようにします1)。さらに、患者さんの病状や生活習慣を考慮して、食事療法、運動療法、薬物治療を組み合わせて行います1)。
慢性腎臓病(CKD)が進行し、腎不全に至った場合は、透析療法や腎臓移植を検討します。
- 文献1~3)を参照し作成
生活習慣の改善
食事療法と運動療法も生活習慣に含まれますが、このぺージではその2つ以外の改善ポイントについて説明します。
タバコは吸わない・禁煙する
喫煙は健康に悪影響を及ぼします。慢性腎臓病(CKD)の進行や心血管病の発症、死亡のリスクを抑えるためにも喫煙者は禁煙しましょう3)。
アルコールはほどほどに
過度の飲酒は、高血圧の原因となることがわかっています。高血圧は慢性腎臓病(CKD)を進める要因となります3)。飲酒習慣のある人は、週1日以上、休肝日を設けるようにしましょう。
肥満の人は減量を
肥満になると血圧が高くなり、慢性腎臓病(CKD)に影響します。メタボリックシンドロームの基準に該当する患者さんは、エネルギー摂取を抑えて体重を減らしましょう3)。過食を防ぐため、常に腹八分を心がけてください。できれば毎日体重を確認するようにしましょう。
適度な睡眠時間を確保する
からだの生理機能を維持するうえで、睡眠は非常に重要です。6~8時間の適度な睡眠は、透析療法の導入や心血管病の発症を減らす可能性があります3)。規則正しい生活をおくり、適度な睡眠時間を確保するようにしましょう。
- 日本腎臓学会編:CKD診療ガイド2012, 東京医学社,2012
- 日本腎臓学会監修:慢性腎臓病生活・食事指導マニュアル~栄養指導実践編~,東京医学社,2015
- 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,東京医学社,2023