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腎機能検査

検査の意義や目的

慢性腎臓病(CKD)は、早期に発見し、治療することが大切です。
一般的な健康診断の尿検査も早期発見のきっかけになります。尿検査や血液検査で異常を認めたら原因や病状を詳しく調べるために、画像診断や腎生検が行われることもあります。
慢性腎臓病(CKD)の診断後は、適切な治療ができるよう、尿検査や血液検査のほかにも体重測定、血圧測定などで病状を定期的に確認します。

尿検査

一般的な尿検査は、朝一番の尿を持参するか、受診時に採尿して行います。検尿コップには、出始めの尿は採らずに中間尿を採ります。
より正確に調べるために、1日分の尿をすべて容器に貯める「24時間蓄尿検査」を行うことがあります。

尿たんぱく

尿中にたんぱくが一定量以上漏れ出ていると「たんぱく尿」と診断されます。検査結果表には「陽性(+)」と記載され、たんぱくの量が多ければ(2+~4+)と記載されます1)。(±)は、漏れ出た量が、陰性と陽性の間だったことを意味します。次回の検査でも引き続き(±)となった場合は、念のためかかりつけ医を受診するようにしましょう。

尿潜血

肉眼ではわからなくても、腎臓や尿管、膀胱、尿道から出血していると、尿に血が混ざり、「尿潜血」陽性(+)となります。

その他尿検査で分かること

尿を遠心機にかけ、沈殿した成分を顕微鏡で調べることがあります。また、糖の有無やpH、比重なども分かります。尿がアルカリ性(pH8.0以上)の場合は慢性尿路感染が疑われ、比重からは尿の濃さを判断できます2)
24時間畜尿検査では、1日の尿たんぱく排泄量、尿中アルブミン排泄量、尿糖排泄量、尿中クレアチニン排泄量を測ることができるほか、1日のたんぱく質摂取量、食塩摂取量も推定することができます3)

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尿検査

血液検査

血液検査では、採血した血液中の成分を調べることで腎機能を評価します。

血清クレアチニン(Cr)

クレアチニンは筋肉を使った後の老廃物で、通常は尿中に排泄されます。腎機能が低下すると、クレアチニンが尿中に排出されなくなるため、血清クレアチニン値が高くなります。筋肉量が多いと血清クレアチニン値が高く、少ないと低く示される傾向にあります。

表1:血清クレアチニン値の基準範囲4)

基準範囲(mg/dL)
男性 0.65~1.07
女性 0.46~0.79
  • 日本臨床検査標準協議会 基準範囲共用化委員会編: 日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲―解説と利用の手引き―,2022

推算糸球体ろ過量(eGFR)

推算糸球体ろ過量(eGFR)は、腎機能を評価する指標で、腎臓の糸球体が1分間あたりにつくることができる原尿を示しています。日常診療では、血清クレアチニン値をもとに、性別、年齢でGFRを推算しています(eGFR)。血清クレアチニン値ではなく血清シスタチンCという別の血液検査で腎機能を評価することもあります。健康ならおよそ100mL/分/1.73m2です。eGFRの数値が低いほど腎機能が低下しています。

表2:慢性腎臓病(CKD)のGFR区分5)

ステージ 腎機能の程度 eGFR(mL/分/1.73m2
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60~89
G3a 軽度~中等度低下 45~59
G3b 中等度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15~29
G5 高度低下~末期腎不全 <15
  • 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,P4.東京医学社,2023より作成

血中尿素窒素(BUN)

尿素窒素は体内でたんぱく質が使われたあとに生じる老廃物の一つです。腎機能が低下すると尿中への排泄量が減少するため、血液中の濃度が高くなります。腎機能以外の影響も受けやすいので、血清クレアチニンやeGFRを参照して判断します。

表3:BUNの基準範囲4)

BUN 8~20(mg/dL)
  • 日本臨床検査標準協議会 基準範囲共用化委員会編: 日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲―解説と利用の手引き―,2022
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血液検査

画像検査

画像検査は、CT検査や超音波検査、MR検査、腹部X線検査などが使われています。腫瘍や結石の有無、腎臓の大きさや形を調べ、異常がないかを検査します。また、左右の腎機能について、放射線同位元素を用いた検査で確認することもできます。

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CT検査

腎生検

腎生検とは、腎臓組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査です。腎臓病の正確な診断を下し、治療方針を決定する際に実施します。腎生検の際は、X線検査や超音波検査で腎臓を観察しながら、背中側から腎臓に生検針を刺して組織を採取します。

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腎生検
  • 日本腎臓学会編:CKD診療ガイド2012.東京医学社,2012
  • 日本腎臓学会 おしっこ大辞典「よいおしっこ・悪いおしっこ」 https://jsn.or.jp/general/osikko/07.php(2023年9月参照)
  • 日本腎臓学会 腎臓病ガイド 健康ノート 私の腎臓「腎臓病の経過をみる上でよく行われる検査」 尿検査 https://jsn.or.jp/general/guide/note/page09.php(2023年9月参照)
  • 日本臨床検査標準協議会 基準範囲共用化委員会編:日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲―解説と利用の手引き―,2022
  • 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,東京医学社,2023

(2023年11月作成)