パーキンソン病

監修:福岡大学 医学部 脳神経内科 教授 坪井 義夫 先生

治療や心がけること

① 薬の服用

パーキンソン病の治療は、ドパミンの働きを補う薬を用いることが基本です。どの薬がいちばん合っているかは一人ひとり違うので、特に薬の飲み始めは、医師によく相談しながら治療を進めていきます。

おもなパーキンソン病治療薬

●レボドパ製剤
レボドパ(体内にあるドパミンに変わる物質)を補う
●ドパミンアゴニスト
ドパミンに似た作用を持つ物質で補う
●その他の抗パーキンソン病薬
レボドパ(体内にあるドパミンに変わる物質)やドパミンを分解する酵素の働きを抑えたり、ドパミン以外の物質の働きを調節して、ドパミンの働きを補う

また、治療が長くなるにつれて、薬が効きづらくなり、薬を飲んでも以前のように症状がよくならない、不調が続く、これまでにない症状があるなど、体調に「ちょっとした変化」がみられるようになります。患者さんご自身よりご家族のほうがお気づきになることが多くあります。「ちょっとした変化」を見逃さずに、医師に伝えることで、患者さんの症状(困っていること)に合わせて治療を見直すきっかけにもなります。

気づいたら医師に伝えたい「ちょっとした変化」

●朝、すぐに布団から出てこなくなった。

●夕方、疲れを感じることが多くなった。

●夜中、トイレに行くとき動きにくい、または動けなくなってきた。

夜中、トイレに行くとき動きにくい、または動けなくなってきた。

●外出時に変化はないけれど、自宅では動くことが少なくなった。

外出時に変化はないけれど、自宅では動くことが少なくなった。

家の中はすり足で動くが、外ではしゃきしゃき歩く

●今まで無理なくできていたことを、ちょっと頑張ってやるようになった。

着替えに時間がかかるようになった

着替えに時間がかかるようになった

●毎日していたことをしなくなった。

新聞を毎朝取りに行っていたのに、最近行かなくなった

新聞を毎朝取りに行っていたのに、最近行かなくなった

②パーキンソン病の外科的治療

脳に細い電極を埋め込む脳深部刺激療法(DBS)などがあります。

③ 運動療法(リハビリテーション)

薬と並んで、運動療法(リハビリテーション)も大事な治療です。せっかく薬を飲んでいても家でじっとしていては、動けるものも動けるようにはなりません。
買い物や友達に会うなど外出を心がけたり、スポーツが趣味の方はこれまで通り楽しんだり、体を動かす機会を大切にしましょう。

おもなリハビリテーションの種類

  • ●ストレッチ、関節可動域の訓練
  • ●リズム音や音楽を取り入れた歩行訓練や体操
ストレッチ

参考)山本光利 編.GP・レジデントのためのパーキンソン病テキストブック. アルタ出版, 2012, pp111-120,121-128, 129-136, 228-235.