健康維持のために体重管理を
パーキンソン病(PD)患者さんの場合、治療を続けながら健康的に過ごすために、痩せ過ぎないことが大切です。
体重が減ってきたらキープするために1日200~300kcalを目安に、エネルギーを多めに摂るように心がけましょう。
定期的に体重測定をし、以前と比較して気になることがあったらかかりつけ医に相談してくださいね。
体重Keepのメリット
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活動しやすい(動きやすい)
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筋肉減少の予防になる
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うつや不安の軽減
体重管理がPD患者さんに大切な理由
- PDの症状のひとつに「体重減少」があり、約5~6割に起こる1)といわれているため
- 診断前から体重減少が起こる場合もある
- 振戦などの運動症状による消費エネルギーの増加
※症状には個人差があります。
おいしく・効率的に+ON”エネルギーアップアイデア
その1:ちょい足しでエネルギーアップ
いつもの食事にちょい足しするだけで、今日からすぐに取り入れられる簡単アイデアです。
その2:量はそのままでエネルギーアップ
食べ物や飲み物を選ぶ際のちょっとしたひと工夫で、エネルギーアップができます。
【Point】食欲アップのコツ
油やこってりとした味、風味が気になるときは酢やレモン、香辛料などを加えると食べやすくなりますよ。
その3:間食や夜食で食事の回数を増やす
体重減少が気になるときは、3食にこだわらず、間食や夜食を取り入れましょう。夜食は消化の負担にならないよう、脂質や糖質は少なめで、できればたんぱく質が補える食品がおすすめです。
食事の取り方などはかかりつけ医や薬剤師、管理栄養士と相談してください。
栄養価は文部科学省 日本食品標準表(八訂)増補2023年/女子栄養大学出版部「毎日の食事のカロリーガイド」第3版・「エネルギー早わかり」第5版を参考。
体重KeepのためのToDoリスト
体重測定をする
定期的に計測し、意図せず6か月で2~3kg以上の体重減少がある場合はかかりつけ医に相談しましょう。
以前と比較して体重が減った、食欲がないと感じたら食事でエネルギーアップ
PD患者さんは一般の方と比べて1.2倍、エネルギー消費しているという研究もあります2)。体重が減りやすいといった場合は、食べるエネルギーが少ないということ。食事でのエネルギーアップを心がけましょう。
噛む力、飲み込む力に合った食事を選ぶ
噛みにくいときは、少し小さめに材料を切ったり、長めに煮るとやわらかくなり食べやすくなります。とろろ芋といったネバネバの食品や、あんかけなどのとろみのある料理、油分の多いマヨネーズや生クリームはパサパサした料理を飲み込みやすくするので、上手に活用しましょう。
監修医からのメッセージ
パーキンソン病患者さんは吸収や嚥下の問題だけでなく、病態によって代謝が亢進し、診断される前から体重が減少するといわれています。一旦痩せると筋肉が落ちてしまい、落ちた筋肉は元に戻すのが難しくなります。
パーキンソン病ではリハビリも重要な治療となりますので、リハビリを十分に行うためにも、しっかり食べて最初から痩せないことが重要です。一度に多く食べられない場合は、間食を取り入れる、摂取エネルギーを増やすなどして痩せないように心がけましょう。また体重が減少することで、服用している薬の効果に影響を及ぼすことがあります。普段より食事の際に動きが悪い、時間が長くかかってしまう、あるいは体が勝手にくねくねと動く症状が出る場合は、医療関係者に相談してみましょう。
- 日本神経学会監修. 「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会編.
パーキンソン病診療ガイドライン2018. 東京. 医学書院. 2018 - 坪井義夫.神経治療 2022;39:27‒30
監修:岡山脳神経内科クリニック
院長 柏原 健一 先生