パーキンソン病では、自律神経症状や精神症状などの非運動症状もみられ、一部の症状は運動症状より先にあらわれる場合があります。
患者さんによって、非運動症状は異なり、ご紹介する代表的な症状とは異なる症状があらわれることもあります。気になる症状は、医師や看護師に伝えましょう。
自律神経症状
便秘
便秘になりやすく、50~80%の患者さんにみられます1,2)。
排尿障害
おっしこが近いなどの症状がみられます1)。
発汗障害
ちょっとした運動でも大量に汗をかいてしまう多汗と、汗をかきづらくなる発汗低下の両方がみられます1)。
起立性低血圧
立ちあがるときに急に血圧が下がり、立ちくらみを起こすことがあります1)。
精神症状・認知機能障害
うつ・気分の落ち込み
意欲がわかない、やる気が起きない、楽しみが感じられないなどの症状が多くみられます1)。
疲労
精神的にも、肉体的にも疲れやすくなります1)。
認知機能障害
注意力や計画を立てたり、計画的に行動する遂行機能が低下したり、視力に関係なく、身の回りの空間(物の位置や向きなど)を認識する機能(視空間認知力)が低下することがあります1)。
幻覚・妄想
実際にはないものをあるように感じる幻覚が出てくることがあります。幻視(他の人に見えないものが見える)、幻聴(ないはずの音や声が聞こえる)など、さまざまな種類の感覚でみられます。
また、架空のことを事実として確信する妄想をもつこともあります2)。
感覚障害
嗅覚障害
においがわかりにくい、においを感じないことがあります。なお、一般的に、65歳以上になると、においがわかりづらくなるので、原因が病気によるものなのかは注意が必要です3)。
痛み
全身のさまざまな部位に痛みが起こりますが、足、背部、肩で多くみられます。肩こりや関節の痛みのほかに、痙攣を伴った手足の痛み、筋肉が収縮することによって起こる痛み(ジストニア)などもよくみられます3)。
- 日本神経学会 監. パーキンソン病診療ガイドライン作成委員会 編. パーキンソン病診療ガイドライン2018, 医学書院, 2018, pp2-17.
- 山本光利 編.レジデントのためのパーキンソン病ハンドブック.中外医学社, 2014, pp29-41, 42-48
- 山本光利 編.GP・レジデントのためのパーキンソン病テキストブック. アルタ出版, 2012, pp94-100