パーキンソン病治療の基本は薬物療法とリハビリテーションです。きちんと服薬することで、体を動かしやすい状態が保たれ、さらに運動などのリハビリテーションを行うことで、症状は改善されやすくなります。
また、薬物療法で症状のコントロールが難しい場合や副作用が強い場合などには、外科的な治療が行われることがあります。
レボドパ持続経腸療法
手術で胃ろうを開け、専用ポンプとチューブを使って持続的に薬*を小腸に送り届けます。薬が安定的に体に吸収されるため、切れ目のない効果が得られます1)。
*レボドパ・DCI配合剤
- この治療法が実施できる医療機関は限られており、数週間の入院が必要です。
持続皮下注療法
薬の効果が十分に得られず、一日の中で効果の切れ目がある場合(ウェアリングオフ)に検討される新しい治療法です。専用の投与システムで薬を24時間持続的に皮下投与します2)。
- この治療法が実施できる医療機関は限られています。
- 患者さん自身で、薬の調整や投与部位の消毒などの操作が必要になります。
- 持続皮下注療法の対象となるのは、薬で十分な効果が得られず、ウェアリングオフのみられるパーキンソン病患者さんです。この治療法が適しているかどうかは、主治医と十分に相談して検討しましょう。
脳深部刺激療法(DBS)
脳に細い電極を埋め込み、電流を流して刺激することで症状を改善します。薬の量を減らせる場合もあります3)。
- この治療法が実施できる医療機関は限られており、数週間の入院が必要です。
MRガイド下集束超音波治療器(MRgFUS)
MRIで脳をモニターしながら超音波を当てて熱凝固させる治療法で、薬の効果が十分に得られず、ふるえ(振戦)がある場合またはDBSの実施が難しい運動症状がある場合に検討されます。手術や機器の埋め込みは不要です2)。
- MRgFUSが実施できる医療機関は限られています。
- MRgFUSの対象となるのは、薬で十分な効果が得られず、ふるえがある、またはDBSの実施が難しい運動症状のみられるパーキンソン病患者さんです。この治療法が適しているかどうかは、主治医と十分に相談して検討しましょう。
- 服部信孝監.ウルトラ図解パーキンソン病. 法研, 2020, pp96-97.
- 電子化された各製品添付文書
- 山本光利 編.レジデントのためのパーキンソン病ハンドブック.中外医学社, 2014, pp140-152,153-165