普段見逃しがちな食後の不快感のケアが健康維持のカギ
パーキンソン病では、「体の動き」だけでなく、胃や腸など「体の中の動き」もゆっくりになることがあります。
「最近、食欲がわかない」「少し食べただけでおなかがいっぱいになる」
それは、見逃されがちな“消化不良”のサインかもしれません。
胃や腸の調子を整えることは、食事を楽しむ力、体を動かす力、毎日の元気につながります。
また、パーキンソン病のお薬の中には、消化不良が薬の作用に影響を与えてしまうものがあります。
ちょっとした不快感のケアが、健康維持を支えるカギになります。
食後スッキリKeepのメリット
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体の動きが軽くなる
食後の不快感が減ると、体が軽く動きやすさも変わってきます。 -
栄養素や薬が体に届きやすくなる
食べ物がきちんと消化されることで、体に必要な栄養素などが届きやすくなったり、薬の働きにもよい影響を与えます。 -
おいしくごはんを食べられる
おいしいという体験が、毎日の楽しみにつながります。
アイデアや工夫でおいしく・効率的に+ON
その1:食べ方と過ごし方のアイデア
一度にたくさん食べず、1日4〜5回に分ける
1日3回の食事を、4〜5回に分けて“こまめに”食べるのがおすすめです(分食といいます)。
少しずつ取ることで胃の負担が減り、消化もしやすくなります。

食後30分は座ってリラックス
テレビを見たり、音楽を聴いたり、ゆっくり過ごすのがおすすめです。
こうした時間で“おなかの休憩時間”を作りましょう。

その2:調理のちょっとした工夫で“消化を助ける”
たんぱく源の肉や魚は、脂質の少ないものを選ぶ
食後の不快感など消化不良の症状があるときは、薄切り肉やひき肉より、
白身魚や練り製品、卵、豆腐などの脂質が控えめで、消化にやさしい食品を選びます。
野菜は小さく切って、やわらかく加熱を
かみやすく、消化もしやすくなります。そして、冷凍野菜もおすすめ。
冷凍の過程で細胞がこわれているため、火が通りやすく、調理も手軽です。
温かい料理を中心に
冷たいものよりも、温かい料理のほうが胃にやさしく、負担をかけにくくなります。

その3:“おなかにやさしいひと皿”で食べたいを支える
お刺身と冷凍のとろろを買ってきてのせるだけの簡単丼。とろろをかけることで飲み込みやすくなり、エネルギーアップにも。お好みで酢飯にするとよりさっぱりと食べられます。

- 冷凍のとろろは袋の表示通りに解凍する。
- 温かいごはんに、お好みで合わせ酢を加えて切るように混ぜたら、器に盛る。
- まぐろ、1のとろろの順にのせ、あれば青のりを散らす。食べる際にしょうゆをたらす。
- エネルギー 252kcal
- 脂質 1.0g
- 食物繊維 1.9g
- たんぱく質 15.3g
- 炭水化物 45.9g
- 食塩相当量 1.4g
栄養価は文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より算出
コンビニで買える食品リスト
ちょっとした選び方の工夫で、消化にやさしい食事はコンビニでも手に入ります。
エネルギーやたんぱく質が補える食品

食欲がわかない時のお助け食品

監修医からのメッセージ
パーキンソン病患者さんは、消化管の運動機能が低下し、消化不良を起こすことがあります。消化不良は、薬の吸収にも影響を及ぼすこともあり、消化器系の症状を見過ごさないことが大切です。また、胃腸を整えることは消化不良の改善だけでなく、「食事を楽しむこと」「体を動かすこと」により精神運動が活発になることでQOL(生活の質)を高めることにもつながります。
本冊子では、食後の不快感を減らすための食べ方や調理の工夫をご紹介しています。「最近、食欲がわかない」と感じている方や、食後に不快感がある方はぜひ取り入れてみてくださいね。

監修:千葉大学医学部附属病院 患者支援部 部長・特任教授
浦安リハビリテーション教育センター 副センター長
山中 義崇 先生

