心不全はどのように進展するのでしょうか
心臓が弱っていく4つのステージ
心臓の機能は、高齢になるにしたがってゆるやかに低下していきます。そこに生活習慣病や心臓の病気が加わることで、心臓はさらに弱っていき、「心不全」へと進んでしまいます。
日本循環器学会や日本心不全学会では、心不全はがんと同様に、病状の進展具合によって図1のように4つのステージに分類しています。症状のないうちに、生活習慣を改善するなど適切に対処することで、心不全に進展しないよう注意しましょう。
特に、心不全のリスクとなる基礎疾患(持病)がある場合には、心不全を発症しやすいため、きちんと治療を受ける必要があります。
適切な治療を受けて、症状をコントロールしていきましょう3)
「心不全」と聞くと、治療もできないような状態というイメージがあるかもしれませんが、実際には、完全に治すことはできないながらも、適切な治療により症状をコントロールすれば、普通に日常生活を過ごせる場合もあります。
心不全であっても、治療により症状が安定している状態を「慢性心不全」といいます。安定状態から急に悪くなった場合を「急性増悪」、病歴がないのに突然心臓が悪くなった場合を「急性心不全」といい、心不全は再発や増悪を繰り返し、次第に心臓の機能が低下しすることで、身体の機能も悪化していきます。(「心不全の診断」、「心不全の治療」参照)。
- 「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について」(厚生労働省,2017年)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000173149.pdf(2023年9月参照) より改変
- 日米欧3学会合同コンセンサス・ステートメント:Eur J Heart Fail. 2021;23(3): 352-380. を参考に作成
- 小室一成:よくわかる最新医学「心不全」, 主婦の友社, 2021, pp28-31. を参考に作成
日本心不全学会『心不全手帳』(2022年10月 第3版)
一般社団法人 日本循環器学会「一般のみなさまへ 心不全」