慢性心不全の症状について
心臓という名のポンプには2つの大切な役割がありますが、そのポンプ機能が低下することで、心臓は十分な役割が果たせなくなり、様々な症状があらわれます。
全身に必要な血液を送り出せない「収縮不全」1,2)
心臓が全身に必要な血液を送り出せなくなることを「収縮不全」といいます。心臓の収縮力が弱まることで、心臓に戻ってくる血液に見合う量の血液を全身に送り出すことができなくなります。
全身に必要な血液を送り出せない場合〔収縮不全〕の主な症状:
- 手足や顔がむくむ
- どうきがする
- すぐに息切れがする
- 疲れやすい、だるい
- 手足の冷え
- 日中の排尿回数・尿量の減少
- 夜間頻尿 など
全身に送り出した血液を受け取れない「拡張不全」1,2)
心臓が全身に送り出した血液を受け取れなくなることを「拡張不全」といいます。心臓に血液が戻ってきた際に、左心室が膨らむことができない、あるいは膨らむのに時間がかかることによって起こります。拡張不全では収縮機能が保たれていることが多く、症状が出にくいのが特徴です。胸部エックス線(レントゲン)検査などで異常な所見が認められる場合もありますが、収縮機能が正常である場合は、はっきりした所見が認められない場合が多くなっています。「拡張不全」は、最近、高齢者に多い心不全ともいわれています。
全身に送り出した血液を受け取れない場合〔拡張不全〕の主な症状:
- 夜、息苦しくなって目が覚めるが、起き上がって座ると呼吸が楽になる(起坐呼吸)
- 全身のむくみ
- 急激な体重増加
- 息切れ など
- 小室一成:よくわかる最新医学「心不全」, 主婦の友社, 2021, pp30-35. を参考に作成
- 佐藤直樹(監修):心不全がわかる本「命を守るためにできること」, 講談社, 2022, pp32-33. を参考に作成
日本心不全学会『心不全手帳』(2022年10月 第3版)
一般社団法人 日本循環器学会「一般のみなさまへ 心不全」