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心不全と運動(運動療法)

心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)における運動療法1)

運動療法のポイント

心不全は必ずしも安静が必要なわけではありません。適切な運動は心不全の症状を和らげ、体力の向上や様々な病気の予防に効果があり、推奨されています。大切なことは、安静にし過ぎず、無理をせず、ご自身に合った疲れない程度の運動を続けることです。

ご自身に合った運動を実施する

心臓リハビリの運動は、強度が強いほどよいわけではありません。強さの目安としては、軽く汗ばむ程度、ややきついなと感じる程度、おしゃべりしても息切れがしない程度がよいとされています(図1)。息がはずんで会話がとぎれとぎれになるようでは強過ぎます。

1回あたりの運動時間は、20~60分程度を目安にする

朝夕20分ずつ2回に分けた合計40分程度でもよいとされています。体調や天候にもよりますが、少なくとも1週間に3日以上を目標としてください。運動不足や体力に自信のない方は少ない運動でも効果が得られます。少なめから始めて、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきましょう。

「有酸素運動」から始める

心臓に強い負担をかけないで行える、軽めの運動を選びましょう。30分程度続けて行えるような運動が最適です。種類としては、軽く汗をかく程度のウォーキング、水中ウォーキング、サイクリングなどの「有酸素運動」が適しています。

準備運動(ストレッチなど)と整理体操を行う

運動を始める前は、準備運動(ストレッチなど)を必ず行い、運動後には必ず整理体操を行うようにしましょう。

図1:自覚的運動強度
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きついと感じない程度の運動が最適です

Borg指数:運動を行う本人がどの程度の「きつさ」を感じているかを測定する指標

運動療法の注意点

  • 空腹時や食後1~2時間以内は避け、お薬の服用を済ませてから行いましょう。
  • 夏も冬も脱水に注意し、水分補給をしましょう(飲水量は医師と相談してください)。
  • 夏は涼しい時間帯を選んで運動し、熱中症に注意しましょう。冬は防寒をしっかりしましょう。
  • 運動中に足腰や胸の痛みが生じた場合は運動を中止しましょう。
  • 転倒予防のため、サンダルなどは避け、かかとのある靴を履きましょう。
運動を行わない方がよい時(下記のような症状がある場合には、運動は行わず、必要に応じて受診しましょう)
  • 体重が急に増えた(3日間に2kg以上の増加)
  • 足のむくみがある
  • 動くと息苦しい
  • 疲れやすい、食欲がない
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体重が増える
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動くと息苦しい
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足のむくみがある
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食欲がない

小室一成:よくわかる最新医学「心不全」, 主婦の友社, 2021, pp58-59.

佐藤直樹(監修):心不全がわかる本「命を守るためにできること」, 講談社, 2022, pp62-69.

(2023年11月作成)

(2024年2月更新)