心不全の確定診断
「心不全」もしくは「心不全予備軍」と診断されたら1)
⼼不全は、症状、⾝体所⾒に加えて胸部エックス線(レントゲン)検査、⼼電図検査、⾎液検査、⼼エコー検査といった検査を組み合わせることで診断が確定されます。心不全あるいは予備軍と診断されたら、原因となっている病気(心不全の危険因子:肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症など)や心不全のステージに応じて治療を開始します。心不全は発症させないことが大事なので、普段からよい生活習慣(「暴飲暴食をしない」「塩分を摂り過ぎない」「禁煙する」「適度に運動する」など)を身につけ継続することが心不全の予防につながります1)。ですが心不全は、発症後であってもその進展を予防する機会があります。心不全の予備軍や前段階と診断されたとしても、生活習慣を改善して進展予防に努めましょう。
フレイル:加齢に伴い、心身が衰えた状態が進行すること
「心不全」治療の目的4)
診断直後は、これからどうすればよいのか、日常生活や様々なことに不安があるかもしれません。診断時は、まだそれほど強い症状がなくても、いずれは今できていることが少しずつできなくなってしまうかもしれません。そうなってしまう前に、「これからも自分らしい生活が続けていけるようにすること」を目標として、早めに治療を開始しましょう。
【心不全治療の原則】
- 心臓の働きを低下させた原因をはっきりさせて、まずはその原因となる病気を治療することから始めます。たとえば、高血圧が原因の場合は、血圧を下げるために降圧薬が処方されます。
- 心不全の治療薬には、症状を軽くしたり症状が出ないようにするものと、心臓が悪くなっていくのを抑えるものがあります。
気になる症状のある方、何か生活習慣病を患っている方、心臓の持病がある方など、心不全リスクのある方は、これからも自分らしい生活が続けられるように、早めの対策が重要です。怖がらずに、まずは、専門医に相談することから始めてみませんか。
- 小室一成:よくわかる最新医学「心不全」, 主婦の友社, 2021, pp36-39.
- 脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について」(厚生労働省,2017年) https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000173149.pdf(2023年9月参照) より改変
- 日米欧3学会合同コンセンサス・ステートメント:Eur J Heart Fail. 2021;23(3): 352-380.
- 佐藤直樹(監修):心不全がわかる本「命を守るためにできること」, 講談社, 2022, pp42-49.
以上を参考に作成